みてよかった…1月〰5月の舞台・映画などから⑤(『エレクトラ』他)

4月
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『エレクトラ』@世田谷パブリックシアター
原案・原作 アイスキュロス
劇作・ 脚本 笹部博司
演出 鵜山仁

小柄な、ボーイッシュなエレクトラ(高畑充希)、よかった。
汗だくで、エネルギーを一直線に出し切っていても、
ちょっと癖もあって。
クリタイムネストラ(白石加代子)は、
とてもたのしそうに演じていた。
わぁっ、あの自在な語りの世界が、なんだかさらに
バージョンアップしてる!
今も成長中なのだろうか?





5月



『草間彌生  MY ETERNAL SOUL』@国立新美術館


大きな作品展を、以前にもみた憶えはあったけど、
今年また、みてきました。やっぱり、草間作品には、
あらゆる創作に共通するテーマがあらわれていると思うから。
そういえば、だいぶ前のこと。
今はもう閉館してしまった、シブヤのシネマライズの
スクリーン前で、自作詩の朗読パフォーマンスを披露する
「ヤヨイちゃん」をみました。あのころと今と、姿変わらず。




映画『ターシャ・テユーダー  静かな水の物語』



またもや最終日にかけこんだのです。
ターシャの庭のすばらしさより、
ターシャ本人がいい感じにへんなひとであるところに
光を感じました。



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★レビューつづく








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みてよかった・・・1月〰5月の舞台・映画などから④(『萬斎ボレロ』他)


4月

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★世田谷パブリックシアター20周年記念公演


『萬斎ボレロ』


今年は、世田谷区民招待公演と、一般公演と、
2回もつづけて 「ボレロ」をみちゃった。
この2回、ちゃんと、衣裳や演出がちがったのです。
区民招待の日は、舞台中央奥、御簾のかげからしずしず登場。
白髪下げ髪ロングヘアー、繻子の衣ずれ・・・厳しく、優雅に。
次にみた一般公演では、登場は上手から。
烏帽子スタイルで、凛々しく、すがすがしく。


私は、今年の下げ髪lバージョンが、
これまでにみたボレロのなかで一番好き。
「ホワイティーくんの絶対跳躍」、お見事なり! 
「萬斎トーク」のほうは、
「わかりやすい」ものだけをよしとはしないでいきたい、
世田谷・三軒茶屋から世界へ、
演劇文化のビームを
たえずえず送りつづけたい、などの“芸術カントクトーク”でした。 




『唐人相撲』


これは、なんて目に鮮やかな狂言舞台。ゴールド・グリーン・
ブルー・バーミリオン・・・。狂言というジャンルを一瞬忘れて、
夢みる。
ポストトークにあらわれたゲストの白井晃氏は一言、
 「前衛的ですね」




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 ★レビューつづく



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みてよかった・・・1月〰5月の舞台・映画などから③(『不信~彼女が嘘をつく理由』他)







3月



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『不信~彼女が嘘をつく理由』@東京芸術劇場
 


このダーク系の三谷幸喜作品では、
まぁ、ごくふつうの
二組の夫婦(段田一則×優香・ 栗原英雄×戸田恵子)の
一見ふわふわとした出会いが、
実は周到に組み立てられた、衝撃のラストへと展開する。


「小道具」の使い方、たのしい。
(分銅みたいにドンッと落とされるマグロのあたま、
よくある白いホーロー容器、よくある黒い紙袋とか・・・)


ところで、以下のようなドラマがあるとすると・・・



① あるひとつの、「共通了解」のうえに
"ふつうじゃないこと"を、あくまでも "ふつうじゃないこと"として
ちりばめてみせる物語


② ”ふつうじゃないこと”(プライベートな事情とか感覚とかも含む)を、
あえて、できるだけ"ふつう"に、
なんでもないように語るドラマ。



私は②も、けっこう好きなんです。
これって、じつは今、私たちが、
ちょっと元気がないときにみるための、
ひとつのファンタジーにもなってるんじゃないかしらーー?




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映画『彼らが本気で編むときは』


いつもの荻上直子作品らしく、のんびり空気のなかから
パンチがとび出るようでいて、
今回はそのパワーは少々よわかった。(生田斗真は、女装が似合う
というのは、
蜷川舞台『サド侯爵夫人』のときに、カクニン済み。
『サド』のとき、あれは、フランス人形そのものでした)




美術『花森安治の仕事』@世田谷美術館



                               
 ★レビューつづく


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みてよかった・・・1月〰5月の舞台・映画などから②(『炎アンサンディー』)

3月

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『炎アンサンディ』@シアタートラム  
  作 ワジディ・ムワワド
  翻訳 藤井慎太郎
  演出 上村聡史




このドラマのシーンのひとつひとつが、「一篇の詩」。
しずかに、あるいは、
胸掻き毟るように、人間について、
家族について、紡がれていきます。




ヒロインは、
自らの生死をこえた、ひとつの意思を
沈黙の内に守らざるを得なかった。
自分が置かれた環境(レバノン内線下から亡命)のなかで。




意思は、死後にのみ、本当の愛に変わる。
そのメッセージの強度に、
舞台も客席も、同時に、
ただもう窒息せんばかりの感覚になる。
(麻美れい×岡本健一×中嶋しゅう×栗田桃子×小柳友
中村彰男×那須佐代子 )
それでいて、
実は、すっきりと「ウェルメイド」な仕上がりになってます。
(映画化もされている)





ポストトークでは、
「詩は、慰め」というようなフレーズが耳にとびこんできて、
一瞬あたまのねじがカチャカチャ混乱。
この舞台の時間の流れのなかに
すっかり入っていた私は、
このトークで「詩」と呼ばれていたものを、
詩というより、
「ふつうの、こころからのせりふ」
と感じていたと気づきました。
でも、この芝居を離れてみれば、
「詩」は、いつも、「慰め」とは限らない、ある種の攻撃パワーも
もっている・・・とかひとりで(詩歌をつくるものとして)思っていたら、
とつぜん、
岡本健一が、野村萬斎のしゃべり方の真似なんかして、
そっくりで、なんか「トラムっぽい」感じでした〰。
 

  ★レビューつづく

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みてよかった・・・1月〰5月の舞台・映画などから①(『陥没』他) )

1月

★ 映画『ブルーに生まれついて』


最終日に、バタバタ駆け込みました。
ジャズ・ミュージシャン、チェット・ベイカーの
苦悩を熱演するイーサン・ホーク。
麻薬がらみの暗黒ボコボコ事件(顎骨折)のあと、
バスルームで、血まみれで、トランペットを吹くシーン、痛〰い。
ジャズ界における、黒人・白人アーティストの微妙な対立感も
かいまみえたような感じ。


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2月

★『陥没』@シアターコクーン


 
 やわらかく、(ほんのり不思議で)、おもしろかった。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ昭和三部作のラスト。
たくさんの登場人物(幽霊含む)たちが
チェーホフ劇風にざわざわしてる。



笑いポイントが、たくさん。ただ、その全部に
必ず大笑いしなくても、好きなところで、
自由に笑えるのがいいです。
(1963年の東京オリンピック直前、開業したてのホテルに
集う面々はみな、どこかふわふわした空気に包まれてる。
ホテルの一室に侵入したらしいとされるけれど、
だれも見たことのない謎のホームレス氏のことさえ、
なんとなく「○○さん」と、旧知のひとのように名前で呼んで
しまったりして。
ホームレスのグループの会話。
一人が確信ありげに、「中丸と君塚にも伝えとかなくちゃ」
もう一人がまた確信ありげに、「そんなヤツはいないよ」
・・・とか、大筋には関係ない、これだけのせりふにも、
この“抜け感”。苗字の選択が、わけもなく、ツボ)



たとえば、
「やさしいことは、つよいこと」by宮城まり子
という言葉があるけど、
「やさしいことは、こわいこと」byケラ
という言葉もありそう。
でも、このドラマにはひとの感情を
ただゆさぶって、
そのまま放りだすような怖さはなかった。
 ホントに、言葉の銀河が、私たちをずっと
包みこんでるような。



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★『お勢登場』@シアタートラム 演出倉持裕


おなじみの江戸川乱歩作品をオムニバスにした、あやしの舞台。
テンポいい。そのぶん、
「乱歩ムード」はやや薄くみえたかもしれない。でも、一人何役かをこなす
演者がみんな生き生きしてみえました。
(黒木華×片桐はいり×水田航生×川口覚×粕谷吉洋×千葉雅子
×寺十吾×梶原善)



シアタートラムは、どうしてだかいつも、演じるひとびとの、
熱だけじゃなく、
彼らのお互いのつながりの明るさがじんわり、
はっきり伝わってくるんです。(他の小劇場とちがう)

                                    ★レビューつづく

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『ヒドゥン・オーサーズ』

 

 電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」の配本が

 スタートしました!

http://dog-and-me.d.dooo.jp/wakusei_kuchibue/wakusei_kuchibue.html

 第一回配本

 『ヒドゥン・オーサーズ』は、

 小説・詩・歌・句の

 文芸ジャンル・ミックス・アンソロジー(西崎憲氏のプロデュース)で、

 私、杉山モナミの短歌も掲載されています。

http://dog-and-me.d.dooo.jp/wakusei_kuchibue/hidden.html

 

 近いジャンルがひとつのところにギュッとあつまって、

 思いもよらぬ、新鮮な感覚が生まれてると思います。

 全作品が、踊っています。今までにちょっとなかったような一冊。

 ぜひ、読んでいただければ幸いです。



https://www.amazon.co.jp/dp/B072LZ33P3/ref=sr_1_1?



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君は1000%


(今、私が歌いたいうた100)



♪君は1000% (1986 カルロス・トシキ&オメガトライブ)

                    作詞 有川正沙子
                   作曲 和泉常寛  




①グロー
 
 

     3月に入って、空が変わった。
 
猫のミテキ(漢字で書くと、美笛)が、

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耳にまるい風を通わせている。




②ストーリー
 
 
 オレは、両手の指を組み合わせてテーブルの中央寄りに

置く、という姿勢をとった。少し背中がまるまって、

いかにもこれから、相手が話すことに、真摯に

耳を傾けようとしている感じ。

 
 「ええ、話したいこと、いっぱいあるんです。でも・・・」


ここで、耳乃はいきなり、ためらいモードに突入した。
 


③スピーチ
 
 
 むかし、ラジオの長唄をきいていた祖母が、

10歳のガキのオレに囁いた。

「しゃべりたいのをガマンして、唄っていると

 ツヤが出るのョ・・・」

このフレーズが、どういうわけか、脳内をかけ回った。 
 
 あのとき、思った。オレの場合、逆にこれから、

唄いたいのをちょっとガマンして、しゃべるのだ。

きっと、ステキなことが起こるよ・・・。



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④グローの内在化
 
 
 気づくと、耳乃はソイ・ラテのカップの縁を

指ではじきながら、窓の外をぽーっと眺めている。
 
 「しばらくのあいだ、わたしがわたしの好きなことを
 
 あなたに話したい、それだけでいいです」

そんな耳乃の〈事前の希望〉をオレは完全に無視した。

耳乃は、唄うように去っていった。 
 


 O.K.!

そう、予定調和をくつがえして、

初対面の彼女の意識を、バッチリ掴んだ。

オレはインディペンデントで、

女性の美と幸福をサポートする、

〈独立ホスト ヒガシダニ・マサミ〉なのだ。
 
 
 
 午後2時、空中に、春の霞がゆわゆわ漂っている。

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Spring Can Really Hang You Up The Most



(今、私が歌いたいうた100)



♪Spring Can Really Hang You Up The Most                                                                              
                                                            (1955)
                      
                                            作詞
 Fran Landesman
                      
                                            作曲 Tommy Wolf 


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小鳥先生


あの日、マキオ先生は、校庭の木瓜の花の陰から

元気なさそうに現われた。でも、「おはよう」の声は、

いつもどおりに高く澄んでいて、美しかった。ただ、右の足だけ

靴じゃなくてサンダルを履いている。白い包帯の爪先が、

少し寒そうにのぞいてる。僕たちは、放課後、先生にかんたんな

松葉杖を作ってあげた。水やシリアルをもっていったら、

「サンキュー」と先生はついばむように平らげた。

翌朝、教室は騒然となった。窓辺に翡翠色の羽が散らかっている。

なにものかが永遠にとび去ってしまった気配もして……僕たちは、

空を見上げた。

「おはよう」高く澄んだ声が響いて、いつものドアから


先生がとび込んできた。

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あけましておめでとうございます!

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          ともだちの多いあなたの匂いだけが迷いのつむじとび超えていく


      



     走るってだれもしらない生きものの親分になり子分になることね





                                (歌誌『かばん』掲載)








 
 
 

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The Nearness Of You



(今、私が歌いたいうた100)


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4.♪The Nearness Of You(1938)

                                
                                 作詞 Ned Washington
                 作曲 Hoagy Carmichael


  一週間ほど前、ボクは、旧い友人クサノと久しぶりに会った。

ボクらは、中2の冬、武道館でダリル・ホール&ジョン・オーツを

一緒に聴いた。その夜は、大雪で、九段から武道館の方へ歩くのに一苦労した。


  以来30年、このアメリカのデュオが日本でコンサートをする度に、

ボクらは一緒に出かけてきた。この前ボクらが会ったのは

彼らが前回日本に来たときだから、だいたい5年くらい前ということになる。
 
  「ホール&オーツ来日」の情報は、いつもクサノのほうが

いちはやくキャッチして、ボクに連絡してきた。高校卒業以来、

ボクらはこうしてコンサートのときだけに会う、ということを続けている。
 
 
 ボクらはコンサート会場で会っても、なんとなく互いの近況を

報告し合わないことになっていた。おまけにクサノときたら、

コンサートの終演後は、いつも口数が少なく、感想を語り合うこともなく

そそくさと帰ってしまう。だから、ボクはクサノが年相応に家庭をもっていて、

ナントカという機械会社に務めていること以外ほとんど知らない。
 

  2015年の東京ツアーは、「♪Man Eeater」からはじまった。

ボクの好みではないけれど、ノリの良い曲なのでいつも会場は盛り上がる。

ボクらは、背広の上着を脱いで、早速立ち上がった。


  「ホーーール!」

クサノは、真っ先に両腕を高く挙げ、大声で声援を送る。

おなじみの曲ばかりが、次々と演奏されていく。 

そして・・・

アンコールの最後の曲は、

今回は「♪ Praivate Eyes」だった。

この曲は、コンサートに集う常連のファンのあいだでは、
 
  「praivate eyes~(チャ

  
 watching you(チャチャ)」

というふうに、客席から手拍子で参加することが、恒例となっている。

ところが、ここのところ、この手拍子のテンションが

じわじわ下がってきているのではないか。かつての会場が

一体となるときのあの高揚感がだんだん薄れていっているのではないか。

正直に言って、

ステージ上のダリル・ホール自身の歌い方にも、弾む熱意がないというか、

むしろ、どこかやっつけ仕事的にこなしてるムードがあるというか・・・。

でも、落ち着いてもう一度よく考えてみたら、ボクがそんなふうに感じたのは

ちょっと違うなと、ふと思った。

そうだ、おそらく、ホール&オーツには、

「praivate eyes(私立探偵)」の旧いまなざしから、

ファンをいったん解放したいという思いもあるんじゃないかな。


  このコンサートの後、ボクはクサノを誘ってみた。

 「今日はゆっくり飲んでいかないか」

クサノもごく自然に答えた。

  「うん、そうだな」

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